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データの入力



1データの年代較正

プロットユーティリティ(画面左のカラム)から1データ較正用のダイアログ(メインメニュの@)を呼び込み,年代較正を行うことができます。このダイアログには,測定試料名(Lab No.など),放射性炭素年代(14C BPあるいはF14C)および誤差を入力するためのフィールドが用意されています。データを入力後,[Calibrate]ボタンを押すことで,OxCalプログラムが実行し,較正結果が返されます(データの出力を参照)。


較正曲線は自由に選択することが可能です。post-bomb曲線を選択すると,選択した較正曲線で較正が可能で,自動的に放射性炭素年代フィールドがF14C(Reimer et al. 2004) に切り替わります。

PC版OxCalの初回起動では,処理に時間がかかることがありますので,calibration/viewの操作を繰り返し試行させてみてください。


較正曲線の表示

プロットユーティリティのダイアログ(メインメニューの@)にある[View curve]ボタンから,選択した較正曲線を表示することができます。表示形式の調整については,データの出力を参照してください。また図が表示されない場合は,対応ブラウザおよびブラウザの要請を参照ください。

較正曲線の表示は,データを入力していなくても表示することができます。また,ご自身で追加された較正データセットも同様に表示できるので,複数のデータセットを比較するときに便利です。


複数データの較正を始める

一度に複数の放射性炭素年代を較正するには,まず"Project..."ボタンをクリックして,ファイルを管理を行うウィンドウを開いてください。以前に作成したプロジェクトファイルがある場合は,ファイルが一覧できます。[+New]を押すと,新規の入力ウィンドウが開きます。入力ウィンドウは,メインメニューから[File > New]を選択することで同様の操作が可能です。

入力ウィンドウの左側にはメニューパネル,右側には入力データビューアが配置しています。左バネル中の[insert]をクリックすると,較正に必要なデータをプロジェクトに入力するためのダイアログが開きます。ここから,解析データの詳細を設定します。下にあるボタンをクリックすると入力したデータを右側のビューアに配置することができます。

メニューパネルの[insert]ダイアログから較正解析に必要なコマンドを選択し,右側のウィンドウで挿入したデータを閲覧することができます。入力したデータは,以下のように表示されます。


Plot()
R_Date("OxA-1200", 1287, 27)
R_Date("OxA-1201", 1234, 27)
R_Date("OxA-1201", 1289, 26)

左側のメニューパネルから[File>Run]を選択すると,解析が実行されます。[Run]を押すとプロジェクトファイルを管理するためのウィンドウが開き,プロジェクトのファイル名を設定できます(初期設定では,'Untitled.oxcal')。ウィンドウ右下にある[Run]ボタンをクリックすると較正が開始され,出力ウィンドウが開き解析結果が表示されます。

較正は,入力ウィンドウの画面の右側上部にある右向きボタンのクリックからも実行が可能です。

また,出力ウィンドウの左側上部の左向きボタンをクリックすると元の入力ウィンドウへ戻ることができます。

一度解析を行えば,これらのボタンを使って入力ファイルと出力データを簡単に往来することができます。入力ファイルを変更した場合は,再度プログラムが実行されます。

スプレットシートからも簡単にデータの入力ができます。測定結果(名前,年代,誤差)をスプレッドシートへそれぞれ3行に整理し,[Tools > Import]で表示される入力ダイアログへ内容をペーストしたら,以下のボタンをクリックしてください。

ボタンをクリックすると,ペーストした全ての放射性炭素年代を読み込みます(読み込みツールを参照してください)。

メニューパネルには,ダイアログで表示されているメニューの役割について簡単な紹介する”ヒント”が用意されています。下のボタンをクリックすると,ヒントの表示/非表示を切り替えることができます。

このボタンは,メニューパネルの右上角にあります。


ファイルの取り扱い

ファイルフォーマットも参照ください。

ファイルの構成

1データの年代較正を実行すると,“Quick.oxcal”ファイルが作成されます。“Quick.oxcal”には,入力した放射性炭素年代データと較正コマンドが保存されています。また,較正すると以下のファイルが作成されます。

ここに示したファイルは,[File > Open]で表示されるファイルビュアーから確認することができます。ファイル名を変更していない場合は,ファイルビュアーに’Quick’というプロジェクトと4つのアイコンが表示されます。アイコンから,各ファイルにアクセスしたり,データを削除することが簡単にできます。

入力ファイルに名前をつける

解析したデータの上書き保存を避けるためには,新規の解析を始める前にファイルビュアーを開いてプロジェクトの変更しておいてください(概存するプロジェクトは,プロジェクト名をダブルクリックすることで変更することが可能です)。すべての解析ファイルは,ファイルビュアーで確認することができます([File > Open]を選択)。

ファイルマネージャ

[File > Manager]を選択するとファイルマネージャが開きます。ファイルマネージャは上述したファイルビュアーと似ていますが,作成したプロジェクトの関連ファイルが“全て”表示されます(較正曲線の比較や保存した図など)。ファイルビュアーとファイルマネージャを用いて,新しいフォルダを作成したり(サブディレクトリの作成),解析したプロジェクトのファイル名を変更することができます(ファイル名をダブルクリック)。

入力ファイルの保存と解析

ファイルを保存するには,入力ウィンドウにある [File > Save] (ファイル名変更可能)あるいは[File > Run] (プロジェクト作成時のファイル名)から行うことができます。解析を開始すると,自動的に出力結果の表示画面に切り替わります。出力ウィンドウにある左向きボタンを押すことで入力ウィンドウへ戻ることができます。

複雑な解析では,処理時間がかかることがあります。解析中に出力結果をファイルビュアーやマネージャから開こうとすると,解析実行中であることを以下のアイコンで知らせます。

また,解析の進行状況は出力ウィンドウのステータスページで確認することもできます。

その他のファイルについて

上述した入力ファイルに加え,必要に応じて以下のような形式のファイルを作成することができます。

これらのファイルは,ファイルビュアーあるいはファイルマネージャから作成することができます。ファイルビュアーからファイルを作成する場合は,ウィンドウの上部にあるポップアップリストから作成するファイル形式を選択してください。ファイルマネージャでは,プロジェクトファイルや出力ファイルの右側に事前確率データファイルや較正曲線データファイルが表示されます。[+New]クリックすると新規ファイルのエディタが開きます。作成されたファイルは,ファイルビュアーで確認でき,解析中でも表示することができます。よく使用する較正曲線データファイルの保存場所は任意で,適時,較正に使用することが可能です。ただし,作成した較正曲線データファイルの用途は,あくまで初期設定された較正曲線から得られた年代と比較することを目的としています。

事前確率データファイルは,タブ区切りファイルで2行にデータを整理したシンプルな構造になっています。一行目が基本軸(通常,暦年代)で,2行目が確率密度になります。本プログラムでは,解析結果を自動的に規格化しています。ファイルフォーマットを参照。

較正曲線データファイルも,3行のスペース区切りファイルになっています(暦年代,14C年代,誤差)。入力したデータのリファレンスを出力結果に反映させることも可能です。リファレンスを出力結果に挿入するためには,リファレンスの前に##(ダブルハッシュ)を置いて明記してください。#で挿入した行は,コメントとして認識し,データとしては読み込まれません。ファイルフォーマットを参照。

事前確率および較正曲線データファイルは,スプレッドシートからのコピー & ペーストでも編集できます。

作成したファイルは,事前確率,較正曲線データファイル名を直接コマンドで指定したり,[File > Insert]からのメニュー操作からも利用できます。

要注意: OxCalは,Calib形式のファイルフォーマットにも対応していますが,データはOxCal内部フォーマットに従って入力してください。AD1の開始あるいは1BCの終わりの年から1を足してください。2001.0は,AD2001年1月1日00:00:00で,-1999.0はBC2000年1月1日00:00:00を意味します。また,1950年の中間時点は,1950.5年になります。詳しくは,暦の定義を参照してください。



ローカルコンピュータにおけるファイルの保存と読み込み

一度解析したデータは,PCへ長期保管しておくことが多いかと思います。OxCalサーバではファイルの蓄積によるサーバの圧迫を防ぐため,各アカウントのストレージ容量に制限を設けています。サーバ版を利用して作成した入力データをご自身のPCに保管するためには,メニューアイテムの[File>Save as]から別名保存するか,[Download]から[Save]を選択してファイルをダウンロードしてください。PC版OxCalをインストールしている場合は,サーバの制限によらず入力ファイルをご自身のPCで解析することが可能です。

[File > Open]メニューアイテムの[Upload]から,PCに保存している入力ファイル(.oxcal)をサーバ版へアップロードして使用することも可能です。v3までの入力ファイル(.14i),出力ファイル(.js)も使用できます。


入力データの編集

入力エディタでは,コピーやペーストなど,入力を補助する操作機能が設けられています。画面右のデータビュアーにある入力済みのデータパネルをクリックすると,パネルを選択できます。新規データを途中に追加する場合,選択したパネルの前に入力データが挿入されます。一つ以上のデータを選択する場合は,マウスをドラッグして,最後のデータパネル上でマウスボタンをはなします。選択されたデータパネルは全てブルーにかわります。編集するデータを選択した状態で[Edit]メニューの[Edit],[Cut],[Copy],[Paste],[Deleate]を選択すると,全てのデータを同時に処理することができます。メニューの[Edit > Edit]は,選択したデータをコードで編集するためのダイアログボックスを表示します。データパネルをダブルクリックすることでも,このダイアログを呼び出すことができます。

データビュアーの上部に配置しているショートカットキーでも同様の操作が可能です。

Cut Copy Paste

データパネルのドラッグ &ドロップもできます。データパネルのラベルをクリックし,移動させたい位置までマウスをドラッグしてください。ドロップするときは,各データパネルにある青い球の上でマウスを放してください。ドロップしたパネルの前にドラッグしたデータパネルが移動します。

重要なデータを誤って削除してしまった場合は,[Edit > Undo]あるいは[Edit > Redo]から,元に戻したり修正を戻すことができます。

また,コードを直接編集することもできます。[View > Code]からコード編集モードに切り替えてください。コード編集モードでは,上述したような編集操作は行えませんが,検索や置き換えなどより複雑な編集操作が可能です。テキストエディタ(ノートパッドやテキストエディタなど)からコードをコピー & ペーストすることもできます。


入力データの表示形式

入力データは,4つの形式で表示可能で,[View]メニューからそれぞれ選択できます。

以下は,各表示を切り替えるためのショートカットキーです。

編年モデル表示 層序モデル表示 リスト表示 コード表示

コマンドの挿入

すべてのコマンドは,[Insert]メニューを利用してプロジェクトファイルへ挿入することができます。コマンドをドロップダウンリストから選択し,表示されたフィールドにパラメータを入力してください。入力コマンドは,ポップアップリスト表示以外に,各機能毎にまとめたショートカットメニューがダイアログ下部に配置しています。

また,[File > Insert]から,作成した較正曲線と事前確率を扱う二つのコマンドも挿入することができます。

コマンドおよびその機能詳細については,すべてコマンドリファレンスに挙げてあります。


データ入力を補助するツール

解析コマンドにはそれぞれ数学的な制約があります。OxCalには,ミスや無駄のない解析モデルを作成するためのアシスタントツールを用意しています。モデルテンプレートを利用しながら特殊な事例におけるデータ入力を行い,入力ダイアログを用いてモデルを完成させてください。モデル構築のためのツールは,カテゴリ毎に分類しており[Tools]メニューから利用できます。

設定

解析における諸設定は,[Tools > Options] で行うことができます。設定項目は,以下の通りです。

較正曲線

較正曲線ツールは,基本的な較正年代の定義を行います。較正曲線のパネル上部でが設定する較正曲線の選択,下部では混合リザーバを起源とする試料の測定データを年代較正するための較正曲線が設定できます。[file > Import]からも較正曲線を変更することが可能です。

モデル

初めてモデルを作成する場合には,モデルツールが非常に便利です。モデルツールを使用すると,作成したい解析モデルのテンプレートが自動的に作成されるので,目的のモデルに合わせてテンプレートを編集すれば容易に解析モデルを完成させることができます。対応しているモデルは以下の通りです。

読み込み

読み込みツールは,データの読み込みユーティリティです(次章を参照してください)。


スプレッドシートからの読み込み

読み込みツール(入力ユーティリティのメインメニュー[tool > Improt])によって,スプレッドシートやデータベースからデータを入力することができます。入力するデータは,各コマンドに対して任意の区切りフォーマットでまとめてください。初期設定されているR_Dateでは,名前,年代,誤差の順に3行に整理する必要があります。

R_Data以外のコマンドは,読み込みダイアログにあるドロップダウンメニューから選択することが可能です。この場合は,各コマンドに適した形式でデータを整理しておく必要があります。各カラムの区切り方については,読み込みダイアログ下にあるドロップダウンメニュー(タブ,スペース,コンマなど)から選択することが可能です。

データ入力を終えたら,読み込みボタンをおしてください。

読み込むデータをプロジェクトマネージャに存在するモデルへ追加します。コード編集モードで表示している時には動作しないので注意してください。

[File > Run]を選択すると解析が開始されます。解析が完了しデータを同様のスプレッドシート形式などで書き出す場合,[File > Save as]からスプレッド形式(.csv)でデータを保存するか,スプレッドシートへ分析データを返す出力ユーテリティを[View > Tab delimited]から選択して使用してください。


ウェブサイト/データベースとのリンク

他のサイトやデータベースから直接プログラムをリンクさせることができます。リンクのURLは以下のように入力します。

OxCal.html?Command=R_Date("OxA-3000",3000,30);

リンクさせたデータは%22で引用マークを置くか,コマンドとの区別のため,%3Dを記載する必要があります。

OxCal.html?Command=R_Date(%22OxA-3000%22,3000,30);

はじめて解析する場合にはこのようなリンクをはった後,システムへログオンしてください。ログオンするとすぐに較正が開始されます。以下のように複数データの較正を行うことも可能です。

OxCal.html?Command=R_Date("OxA-3000",3000,30);R_Date("OxA-3001",3060,30);R_Date("OxA-3002",3100,30);

基本的には,海洋リザーバの較正曲線の定義なども実行することができます。

OxCal.html?Command=Curve("Marine04");Delta_R(100,20);R_Date("OxA-3000",3000,30);

以前に実行したデータを編集するためのリンクも可能です。

OxCal.html?Mode=Input&Command=Plot(){R_Date("OxA-3000",3000,30);R_Date("OxA-3001",3060,30);R_Date("OxA-3002",3100,30);};