元素分析計 CE Instruments NC2500
- 分析・測定機器 -

元素分析計:
Model: NC2500, CE Instrument

封管法とEA法

 有機物試料の炭素同位体比(δ13C),放射性炭素(14C)年代測定においては,試料中の有機物をガス化し,精製したガスからCO2のみを分離精製する必要がある。従来,石英管やバイコール管,パイレックス管に試料を酸化銅と一緒に詰め,封じ切り用の真空ガラスラインに接続してできるだけ管内の大気を除いた後,バーナーで封じ切り,電気炉中で加熱して,試料中有機物をガス化する方法(以下,封管法)が採られてきた。

この封管-CO2法はすぐれた方法であるが,用いるガラス管および管内に入ってい酸化銅,銅線(場合によっては石英綿,還元銅)に炭素が含まれていると汚染となるため,事前に空焼きをして,含有炭素を除去しておく必要があるなど,時間と手間がかかるうえに,1試料1本のガラス管を消費していくために,多試料を扱う場合,ガラスごみが多量に出るという欠点がある。また,一般的に0.5~2mmの炭素を回収する際に用いられており,0.5mm以下の少ない炭素量の場合に適切であるかどうかは不明である。

この封管-CO2精製法に対して,最近世界で広く用いられている方法が,元素分析計(Elemental Analyzer: EA)で試料の燃焼およびCO2の分離を行う方法である。

スズカップに包んだ試料を酸素気流中,燃焼炉で燃焼させた後,還元炉で窒素酸化物をN2に還元し,H2Oトラップで発生した水を除去して,GCカラムでN2とCO2に分離するものである。このEA法は,燃焼管中の試薬の交換を行う手間はあるものの,多試料を短時間で分析可能である。

EA-CO2捕集システム

封管-CO2精製法によるシュウ酸のδ13C値とEA-CO2捕集法によるシュウ酸のδ13C値の比較

封管-CO2精製法とEA-CO2捕集法による14C値の違い

これらについては,以下の文献をご参照ください。

文献
南 雅代・太田友子・大森貴之・中村俊夫(2008)試料燃焼~二酸化炭素精製における炭素同位体比分別-封管法と元素分析計における試料調製の違い-.名古屋大学加速器質量分析計業績報告書XIX,160-168 本文(PDF)

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