設立の趣旨

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 宇宙地球環境研究所年代測定研究部は、平成2(1990)年6月8日に発足した年代測定資料研究センター、そしてその後、平成12(2000)年4月1日に改組により創設された年代測定総合研究センターが母体となり、平成27(2015)年10月1日に設立されました。

 名古屋大学は昭和57(1982)年に、世界で2番目に製造されたタンデトロン加速器質量分析装置を導入しました。加速器質量分析装置を使った炭素14年代測定法の基礎研究を行った後、平成2(1990)年に、炭素14年代測定の学内共同利用研究施設として名古屋大学年代測定資料研究センターが設立されました。平成8(1996)年には2台目のタンデトロン加速器質量分析装置を導入し、平成12(2000)年4月から、研究分野をさらに拡大させるために、名古屋大学年代測定総合研究センターを創設しました。年代測定総合研究センターは46億年にわたる地球史のあらゆるイベント解析を行うために、タンデトロン年代研究分野およびCHIME年代測定法開発研究分野の2分野を構成して、ユニークな研究を実施するとともに、幅広い学際的な共同利用と共同研究を推進してきました。また、次世代研究者の育成を目指して、大学院環境学研究科地球環境科学専攻の協力講座「地球史学講座」に参加するとともに、年代学や年代測定に関する各種の啓蒙活動を実践してきました。

 平成27(2015)年、年代測定総合研究センターは、太陽地球環境研究所および水循環研究センターと組織統合し、宇宙地球環境研究所となりました。

 タンデトロン年代測定研究グループは14C年代測定法によって、約6万年前から現在に至るまでの地球環境変動と人類文化史についての研究を行うとともに、加速器質量分析装置を用いて半減期の長い核種による新年代測定法の開発を目指しています。また、活断層や火山の活動周期をより細密な年代測定から解析する研究や14C濃度の時空変動の解析から近未来の地球環境予測に関する研究も進めています。

 微小領域年代測定法開発研究グループは、名古屋大学で世界に先がけて開発したCHIME法を駆使して約46億年前から約1億年前までの長い地球史を詳しく研究しています。

 地球環境の近未来予測とその対策が、人類共通の緊急課題となっています。かけがえのない地球では、環境変動を実験して予測することは許されません。過去の環境事象は将来の地球環境の鏡像として捉え、境界条件を解析して未来をシミュレーションする必要があります。そのためには、過去の事象の時間変化を捕えること、即ち、年代測定が不可欠であることは言うまでもありません。CHIME法と炭素14年代測定法で地質時代と人類紀の年代測定を推進し、更にその他の核種を使って両者の間隙をうめて、46億年にわたり全地球史を解析しようとする年代測定研究部の理念と目標は、急激な変貌をとげている地球環境の将来予測という人類課題を解決するものであり、学術的にも社会的にも極めて重要な位置にあります。

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沿革

  • 1981年3月 タンデトロン加速器質量分析計初年度分の搬入(アイソトープ総合センターに設置)
  • 1982年3月 タンデトロン加速器質量分析計次年度分の搬入
  • 1983年9月 タンデトロン加速器質量分析計による14C年代測定を開始
  • 1987年1月 タンデトロン加速器質量分析計の学内共同利用を開始
  • 1990年6月 名古屋大学年代測定資料研究センター発足
  • 2000年4月 名古屋大学年代測定総合研究センター発足            
  • 2015年10月 名古屋大学宇宙地球環境研究所へ組織統合 年代測定研究部発足
  • 2016年4月 タンデトロン加速器質量分析計の全国共同利用を開始

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